教育長 吉田 洋一 様
このたび、貴委員会において、北海道の複数の自然保護団体、および多くの国民の声を受けて、ナキウサギの天然記念物指定について市町村の意向調査をやり直しされるとのことですが、今週中に実施される予定の以降調査(案)には、下記のとおり種々の問題点がありますので、再度、ご検討いただくことを要望します。
記
調査内容は、空知、日高、網走、上川、十勝の5支庁の全市町村を対象にして、1.エゾナキウサギの生息状況、2.エゾナキサウギの保護を確認するというものである。
しかし、北海道は、1991年に分布、生息状況について専門家による詳細な報告書を題している。当面はこれを前提にするべきである。その補充は、専門家によりなされるべきである。
また、ナキウサギの貴重さと保護の必要を道議会その他で認めているのであるから、それ以上に、市町村に意向調査する目的も不明である。
地元の意向調査という点では、何よりの地元である北海道が、生息状況と保護についての見解を国と国民に示すべきである。市町村への調査結果を公開するというが、まず、北海道自らの意向を、道民、国民に示すべきである。
そもそも指定するかどうかを判断するための意向調査であるから、実態・分布調査を今、行う必要はない。保護策の質問も指定が決まってからの検討で足りる。
状況調査にしても保護にしても、市町村にわずか2週間で答えさせることは、不可能を強いるに等しい。2週間で調査してもおよそ正確な情報は期待できない。仮に市町村が、ナキウサギの生息について把握しておらず、生息していないと回答した場合、ナキウサギはその市町村から絶滅したと結論づけることになるのか。
指定が必要かどうかを5支庁の市町村のみに質問する理由は何か?
ナキウサギの生息がない市町村の回答内容をどう考慮するのか。
質問の仕方が、最初に保護の必要があるかどうかを回答させ、あると答えた自治体にのみ、その後の質問に答えさせているが、これは自治体に保護責任を転嫁させるものである。
私たちは、9月23日付で文化庁に対して、下記の質問をしているが、しばらく検討が必要であるとの理由でいまだに回答はない。指定に関して、文化庁において回答できない問題が多いのであるから、少なくとも北海道による再調査も、文化庁の回答を待って行うべきである。
以上