日本森林生態系保護ネットワーク
代表 河野昭一
十勝自然保護協会
共同代表安藤 御史
松田 まゆみ
佐藤 与志松
ナキウサギふぁんくらぶ
代表 市川 利美

要望書

1 要望事項

  1. 沖縄北部の国有林(沖縄県への無償貸与)における天然林施業を直ちに中止すること
  2. 北海道大雪山国立公園内の天然林伐採の中止と林道の路盤材に廃棄物を使用することを直ちに中止し、すでに使用されている破棄物を直ちに撤去すること

1 要望の理由

(1) 沖縄本島北部に広がる通称やんばる(国頭村、大宜味村、東村)の森林(国有林であるが、沖縄県に無償貸与されており、県営林と称されている)は、ヤンバルクイナ、ノグチゲラをはじめとする多くの沖縄固有種が生息、生育する森林です。現在、10路線の林道開設工事が沖縄県によって計画され、この林道開設による生態系の破壊に付いては2009年に林野庁長官に直接お話させていただいた。

この林道開設工事については、現時点では中断しているが、代わりに森林施業として大規模な下草刈施業などが大規模に行われている。ところが、やんばるの森林の林床こそヤンバルクイナが営巣し、ノグチゲラが採餌する生息地であって、この森林施業はこれらの固有種の生存に重大な影響を及ぼすものである。もちろん森林の林床は、多くの植物や昆虫が生育、生息し、河川の源として森林生態系、河川生態系の核をなすものであるから、この森林施業は固有種のみならずやんばるの森林そのものに計り知れない悪影響を及ぼす。

このような森林施業は、そもそも天然林では無用のことであり、植林された森林であってもそのほとんどがすでに天然林となっているため、やんばるではすべての森林において一切手を加えないことこそ求められている。

(2) 大雪山国立公園では、特別地域においても、択伐を中心に依然として森林伐採が行われている。伐採場所は、大雪山の核心部とも言える緑岳、高根が原の山麓部分にも広がっている。しかも、伐根には収穫調査の際に貼られるラベルの存在しないものも多く発見され、これらは違法伐採の可能性が極めて高い。

また、森林内に、保安林内の作業許可条件を大きく超える倍以上の面積の伐採作業道を縦横に開設し、同じく同許可条件を大きく越える面積の、伐木集積場である土場を建設し、それらの違法行為は目に余るものがある。 林野庁によるこのような伐採によって、大雪山国立公園では樹齢数百年を超える成熟木はほとんど姿を消している。国立公園内の国有林においては、これ以上の伐採を禁止するよう求めるものである。

また、上記伐採に際して林道の整備をしているところ、林道の路盤にプラスチック廃材等が混じったコンクリート廃材が用いられており、事実上の廃棄物処理場と化している。林野庁として国立公園特別地域においてこのような路盤材の使用を認めているとすれば重大な問題であり、直ちにやめるとともに廃材を撤去すべきである。